ネットワークエンジニア転職の市場動向とスキル要件をエージェントが解説

DXによる需要増加と人材不足

ネットワークエンジニアの需要は、クラウド化の加速やデジタルトランスフォーメーション（DX）の推進により、拡大を続けています。とくに以下の分野での需要が顕著です。

• ネットワークインフラの設計・構築
• ネットワークセキュリティの実装
• 通信プロトコルの設計・管理

未経験者の場合も、ネットワーク基礎知識（TCPやIP、ルーティング、スイッチングなど）とクラウドインフラへの理解があれば、資格取得とキャリアパスの計画次第でキャリアチェンジは可能です。ただし、CCNAなどの基本的な資格取得は必須となるでしょう。

リモートワーク時代の働き方変化

新型コロナウイルスの影響で急速に普及したリモートワークは、ネットワークエンジニアの働き方にも大きな変革をもたらしています。具体的には以下のような変化が生じています。

• リモートでのネットワーク監視業務が標準化
• クラウドベースの管理ツールの活用増加
• オンライン会議システムを使用した遠隔サポート対応
• セキュアなリモートアクセス環境の構築需要増加

また、働き方の変化に伴い求められるスキルも変化しています。

• クラウド管理ツールの操作技術
• リモートでのトラブルシューティング能力
• オンラインコミュニケーションスキル
• セキュリティ意識の向上

このような変化により、場所を問わない柔軟な働き方が可能となる一方で、セキュリティリスクへの対応や、リモートならではのコミュニケーション課題への対処も求められています。

クラウドインフラ構築・運用力

昨今のネットワークエンジニアには、AWS・Azureなどのクラウド環境における設計・構築・運用が必須スキルとなっています。具体的に求められる能力は以下のとおりです。

• 仮想サーバー（VMwareなど）の構築・運用
• WindowsやLinuxサーバーの環境設計
• WAN/LANネットワークの設計・構築
• クラウドリソースの最適化管理

とくに重要なのが、オンプレミス環境とクラウド環境を効率的に連携させるハイブリッドクラウドの構築力です。顧客のニーズに応じて、最適なインフラ環境を提案・実装できる技術力が欠かせません。

また、単にクラウドサービスを利用するだけでなく、コスト最適化の視点を持ちながら、セキュアな環境を構築することも大切です。新しい技術トレンドへのキャッチアップも不可欠です。

セキュリティ対策実装スキル

近年のネットワークインフラにおいて、セキュリティ対策の実装は最重要スキルの1つとなっています。具体的に求められる実装力として、以下の3つがあげられます。

• ファイアウォールやIPS／IDSの設定と運用
• VPN／SSL―VPNの構築と管理
• アクセス制御とユーザー認証の実装

また、以下のような経験・知識も重視されています。

• インシデント対応の実務経験
• セキュリティ監査・評価の実施経験
• セキュリティポリシーの策定経験

とくに、クラウド環境でのセキュリティ実装は、主要プラットフォームにおける標準的なセキュリティ機能の理解と、多層防御の設計・実装能力が重要視されています。

大規模システム移行プロジェクト

大規模システム移行プロジェクトの経験は、ネットワークエンジニアとしてのキャリアを積むうえで欠かせない実績となります。具体的に求められる経験は以下のとおりです。

• 大規模な社内ネットワーク移行プロジェクトの管理経験
• 複数拠点を跨ぐインフラ統合プロジェクト
• レガシーシステムからクラウド環境への移行

とくに以下のような実務経験があると、転職市場での評価が高くなります。

• オンプレミス環境からAWSやAzureへの全面移行
• 事業部門間のネットワーク統合
• グローバル拠点とのネットワーク接続構築
• 新旧システムの並行運用・切り替え管理

大規模移行では、システムダウンタイムの最小化や、既存業務への影響を抑えた段階的な移行計画の立案能力も重視されます。プロジェクト規模が大きいほど、予算管理や進捗管理のスキルも同時に問われます。

マルチクラウド環境の構築実績

近年のネットワークエンジニアには、複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウド環境の構築・運用経験が重視されています。具体的には以下のような実績が求められます。

• AWSやAzure／GCPなど複数プラットフォームでの環境設計
• オンプレミス環境とクラウドの効率的な接続構成
• クラウド間連携におけるセキュリティ設計
• コスト最適化を考慮したリソース配置

とくに注目されるのは、以下のようなプロジェクト経験です。

• 複数拠点や事業部を含む大規模環境での構築実績
• クラウド移行時の課題解決とトラブルシューティング
• マルチベンダー環境でのネットワーク最適化
• クラウドネイティブ技術を活用した構成管理

このような実績は、転職市場において高い評価につながります。

トラブルシューティングの対応実績

トラブルシューティングの実績は、ネットワークエンジニアとしての対応力を示す重要な指標です。とくに以下の経験が評価されます。

• ネットワーク障害の原因特定と復旧対応
• セキュリティインシデントへの緊急対処
• システム性能劣化の改善
• ユーザー部門からの技術的問い合わせ対応

実績を評価する際のポイントは以下のとおりです。

• 問題の切り分け：障害箇所の特定スピード
• 解決までの時間：ダウンタイムの最小化
• 再発防止：恒久対策の立案・実装
• ドキュメント化：ナレッジの蓄積・展開

とくに大規模システムでの障害対応経験は、より複雑な環境での問題解決能力を示すため、高く評価されます。また、24時間365日のオンコール対応経験も、実務経験として重要視されます。

チームリーダー・PM経験

ネットワークエンジニアとしてのキャリアを発展させるうえで、プロジェクトマネジメントスキルは重要な要素といえます。とくにプロジェクトマネジャーとして以下の経験を積むことで、市場価値が大きく向上します。

求められるPM経験	評価が高いリーダー経験
開発チーム全体の進捗・タスク管理	アジャイル／スクラム開発の推進
企画部門との要求整理や要件定義	新規チーム立ち上げ
業務効率化施策の立案と実行	社員／業務委託混在チームのマネジメント
他部署とのステークホルダー調整	開発フローの改善施策実施

とくに最近では、マルチベンダー環境でのプロジェクト推進力や、クラウドインフラを活用したサービス開発のPM経験が重宝されています。また、開発スピードの向上や業務効率化に関する具体的な成果も、転職市場では高く評価される要素となっています。